大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)879号 判決

被告人 星野喜一郎

〔抄 録〕

検察官の控訴趣意について。

原判決が、その主文において、被告人を懲役二年六月に処する。未決勾留日数中三〇〇日を右本刑に算入する。旨を言渡し、その理由中において、右未決勾留日数の本刑算入は、刑法第二一条による旨を判示していることは、所論のとおりであつて、これに対し所論は、右は、原判決が法令の適用を誤つたものであり、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかである旨を主張する。よつて案ずるに、被告人が本件について昭和三二年六月五日から現在まで引き続き勾留されていること、及び破棄差戻前の第一審判決が同年九月一六日言渡されたものであることは、記録に照らし所論のとおりであつて、なお、記録によれば、本件においては、右破棄差戻前の第一審判決に対し、同年九月一六日、被告人から控訴を申し立てたところ、控訴審において、該判決が破棄され、事件が第一審裁判所に差し戻されたものであることが明らかであるから、右破棄差戻後の第一審判決である原判決における未決勾留日数の本刑算入については、所論のように、刑法第二一条によるいわゆる裁定通算としては、被告人が本件につき勾留された同年六月五日から右破棄差戻前の第一審判決宣告の日の前日である同年九月一五日まで合計一〇三日の未決勾留日数を対象として、その全部又は一部を算入することができるものであり、右破棄差戻前の第一審判決宣告の日である同年同月一六日から原判決宣告の日の前日である昭和三三年四月一〇日までの未決勾留日数は、刑事訴訟法第四九五条所定のいわゆる法定通算の対象となるものといわなければならない。そして、同条所定の未決勾留日数は、判決が確定して本刑の執行される際、当然に全部本刑に通算されるべきものであつて、原裁判所には、右日数を本刑に通算するか否かの裁量権が委ねられていないのであり、判決においてこれを宣告すべきものではないと解すべきことは、最高裁判所判例(昭和二五年(あ)第一四七七号同二六年三月二九日第一小法廷決定)の示すところであるから、原判決が、前示のように、右裁定通算の対象となるべき未決勾留日数一〇三日の範囲を超えて、前掲法定通算の対象たるべき未決勾留日数をも含むと認められる未決勾留日数三〇〇日を刑法第二一条によつて本刑に算入したのは、同法条の適用を誤つたものというべきであつて、この誤が判決に影響を及ぼすことは、明らかであるから、原判決は、この点において到底破棄を免れない。論旨は理由がある。

(中西 山田 鈴木)

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